経験者おすすめ心の栄養になった作品
『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』ベッセル・ヴァン・デア・コーク(著) 柴田裕之(訳)
タイトルに惹かれて読んでみようと思いました。
私は自分に「過去はもう終わったことでどうしようもないこと。今を精一杯生きよう。」と無理やり言い聞かせて、頭で嫌な記憶を追いはらおうと無視しても、急に思い出されて、心(感情)や体がついていかないことがありました。逆に周りに合わせて表情や言葉も取りつくろうことができても、心(感情)がわからなくなっていたので、もしかしたらヒントがあるかもしれないと思い読んでみました。
読んでみると、いつもは言葉にできないような苦しさが詳細に書かれてありました。
「複雑で混沌とした感じを、こんなに理解してくれている人がいる。」という事実にほっとしました。
クライエントのエピソードは、過去がクリアによみがえるので何度も読むのをやめました。けれど同時に尊敬と仲間のように思いました。
エピソードを読めないときは、脳や神経で説明されているところを読むことにしました。
「私の心や意志が弱かったから、性格が悪かったからではない。脳や神経や身体反応が、生き残るために変化していたんだ。」と知ることができ、少しずつ自分を受け入れることができました。
前までは自分に厳しくしていましたが、この本を読んでからは、「頑張ってきたよね。これからの人生は、ゆっくりくつろぎも探そう。脳や体の回路を、自分を安心させよう。」と思えるようになりました。
前よりも繊細で敏感にたくさんのことに気づくようになり、苦しくて耐えられないことも増えましたが、楽しいことも嬉しいことも、感謝することも増えました。
今でもふいに過去を思い出して、生きることが恐ろしく思ってしまうこともあるけれど、それも自分だし、そういうときもある。と認めて、気楽に今や未来を過ごそう、自分が本当に楽しいことや、安心してリラックスできることを大切にしようと思いました。
穏やかに過ごすことや、自分も他者も大切にすることとはこういうことかもしれない、とつかみかけている気がします。
これからも、脳・心・体がばらばらになりそうなときに読みたいと思います。
〇紀伊国屋書店ホームページ
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