Wisdom

インタビュー&座談会集

自分の境遇を、今はどのように受け止めていますか?①

施設や里親さんの家等で暮らしていたこどもの頃から、いろんなことがあったと思います。
それらを抱えながら、今、どんなふうに考えて暮らしているでしょうか。先輩と語ってみました。

境遇の中でいちばん不安だったのは、自立の時です。
自立する前はあんなに「はやく退所したい」「自由になりたい」と思っていたのですが…。
社会的養護から自立したあとの「孤独」って、ひとりぐらしになって話し相手がいなくてさみしいとか、そういう次元の話ではないですよね。
「本当にひとりぼっちになったんだ」という崖っぷちの感覚でした。
「本当にひとりぼっち」「崖っぷち」、とても共感します。
災害や病気になっても、誰にも気づいてもらえないし、助けにきてもらえないだろうなと思っていました。
どうしようもない事実なのでしょうがないのですが。
はい。この孤独感は自分で埋めるしかないんだと感じました。
さらに、自立してしばらくすると、自分ひとりでなんでも決めることに疲れてきて、こんなに「自己決定が大事」といわれている世の中なのに、自己決定が嫌になっていきました。
よくわかります!私は自己決定どころか、ご飯を食べたり、入浴ができなくなって不思議でした。
なぜできないのかわからなくて、できない自分も嫌になって、うつっぽくなりずっと横になっていました。
今思うと、こどもの頃から親に振り回されていたので、自分の意志は捨てていました。児童養護施設でもただ周りにあわせて、流れで生活していたと思います。
なので、急にひとりになると、自分が何をしたいかわからないことに気づきました。
とても共感します。私も前までは自分の優先順位が低かったです。
自分はさておき、なにがなんでも周りの人を幸せにしなくちゃいけないと必死でした。
パートナーとも、関係ができることが怖かった時期もありましたが、自分を理解してくれて、大切にしてくれて、やっと自分のことや、大切にしたいことがわかってきたような気がします。
私も、パートナーが私を大切にしてくれて、パートナーを悲しませたくないという気持ちから、やっと自分を大切にできるようになりました。
健康に気をつけるようになりましたし、自分の気持ちに向き合うようになりました。
はい。自分を大切にしてくれる人がいないと、自分を大切にするということがわからないと思います。
施設の職員さんたちが大切にしてくれたことで知った、「社会は優しい」という学びも支えですが、
ずっと一緒に、お互いを大切にしながら人生を生きてくれる人がいることが、生きる意欲になった気がします。
〇編集後記〇
孤独について自分なりに理解していくことや、自分を大切にすることについて、話が盛りあがりました。まだまだわからないことだらけなので、たくさんの方とこのテーマについて、お話してみたいなと思いました。
ぜひ、ご意見やご感想を教えていただけたら嬉しいです。

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