経験者おすすめ心の栄養になった作品

私にとって「星の王子さま」は大切な気持ちを思い出させてくれる本です。

名前やキャラクターは昔から知っていたけれど、こうして本という形で再会をしたのは、友達から勧められたその足で買って読み始めた本でした。

この本は全体的に分かりやすく書かれていない。でも、こういう本ってきっと、自分との対話や記憶をめぐらせる力を持っているのだと思う。

あえて「再会」という言葉を前段で使った理由としては、今は一緒に暮らしていない実の母親からもらったプレゼントが、星の王子様が描かれていたオルゴールでした。いまはあのオルゴールはどこに行ってしまったのか、覚えていません。きっと無くしちゃったのかも。

小さい頃の私は、学校での悲しかったこと、辛かったこと、家で辛かったこと。1人部屋の中で泣きながらもオルゴールのネジを必死に回して、蓋をゆっくりあける。そこから流れてくる「きらきらぼし」。

その曲を聞きながら、記憶の中にある母親との楽しかった思い出や、嬉しかった思い出を頭に巡らせる。全ての嫌だったその時々から少し離れられる時間でもありました。

“Anything essential is invisible to the eyes.

心で見なければものごとはよく見えないってこと。 大切なことは目に見えないんだよ。”

本のなかに書かれているこの文章は。
私のなかで言葉にならなかった大切にしていたけれど、忘れかけていた指針を「星の王子様」が言葉にしてくれました。

世の中の色々なことは時に「キツイな」と、そう思う時がある。それでも目に見えないことほど、目ではわからないことほど、心でみる。心で感じるという些細なことを大切にしていきたいです。

むちゃりか

著者　サン=テグジュペリ
訳者　河野万里子
ページ数　160ページ
出版社 新潮社