Wisdom

インタビュー&座談会集

養護施設等を退所して10年ほどたったいま、思うこと④

養護施設や里親さんの家などを退所して10年ほどたっている先輩たちは、当時のことや退所してからのことをどのように感じているでしょうか。聞いてみました。
第①弾第②弾第③弾はこちらです。

今だから思うけど、施設で生活していたときって、守られていて、当たり前に施設や地域にいて、特別って感じしなかったんだよなあ。
だからこそ、社会にでて初めて厳しさを知った。こんなに社会的養護って知られていなくて、理解がなくて、冷たい扱いされるなら、隠さないと生きていけないと私は感じた。
社会では、社会的養護って特別なものとして話題にでるし、語りづらいものだなと。

うんうん。驚かれることもあるし、言いづらい、語りづらいよね。
施設経験は、ただ私のなかに一部当たり前にあるものなのに、隠していきていかないといけないのはしんどいなと。
だから、施設とか里親家庭が特別なものじゃなくなってほしいな。
だれでも子育てに困ったら助けてくれる場所として、子育て相談、ショートステイなどで「施設や里親さんにすこし預けたらいいよ」って言えるような、気負わずに社会で育てる仕組みになってくれたらいいな。
子育て、社会的養護にもっと関心がむけられるような社会になると、特別な感じがしなくなるんじゃないかな。
特別なものじゃなく、誰でも制度として活用できるものになってほしいか~。なるほどなあ。
保育園も、今やあたりまえだけど、最初は「保育園に預けるなんて!」っていうバッシングもあったと聞くしね。
社会の意識が変わることや、人手不足、働き方問題の解消が必要になりそうだけど、困っている家族にとっては、気負って追いつめられるよりは、気楽に子育てできそうだよね~。
私は、社会的養護の当事者、経験者だからということにしばられすぎず、生きていきたいなーと思うこともあります。
過去が影響していまの自分がいるっていうのは確かにそうなんだけど、
そうした思いが強くなるといつの間にか「自分は幸せになれない」って考えちゃう自分がいたんです。
ときどき、一人の人としての自分の幸せってなんだろうと考えます。
〇編集後記〇
社会的養護って、社会からみると特別な経験として扱われる一方で、自分にとっては当たり前でもあったし、ただのひとりの人間だし…。
でも、特別な経験でなかったかと言われると否定はできないし…。
事実だけど、とらわれすぎないバランスを探りたいですね。

自分の大切なルーツのひとつなのはたしかなので、必要なときには、さらっと言えたらいいなと思ったりもします。
これも人それぞれ、自分と相手の関係によりけりですかね。

社会的養護に限らず、だれしもに、人に言うか迷うことってあるように思いますし、皆様はいかがでしょうか?ご意見やご感想ありましたら、ぜひ教えてください。

●「あなたの声を聞かせてください 投稿フォーム」はこちらです。

一覧へ戻る
アイリス知恵袋 INDEX