Wisdom

インタビュー&座談会集

養護施設等を退所して10年ほどたったいま、思うこと①

養護施設や里親さんの家などを退所して10年ほどたっている先輩たちは、当時のことや退所してからのことをどのように感じているでしょうか。聞いてみました。
第②弾第③弾第④弾はこちらです。

10代後半から25歳くらいまでの頃は、周囲とのちがいに悩まされました。比べたくなくても、気づいてしまいますよね。たまたまかもしれないけれど、家族なかよしという子が周りに多く、うらやましい反面、家族を学ばせてもらった気がします。

今もなにもかも嫌になるときもあるけれど、生きてきた道のりを振りかえり、頑張ってきたよね、と自分に思います。やっと、強がりでもなく、心底そう思える時間が増えたのは、私は30歳をこえてからでした。

そう思えるときもあるけど、1日のなかでも考えが変わるし、昨日すげーポジティブでも、今日すげーネガティブ、というときもあるし、時期でもちがうし。嫌なことばかりだと嫌なことも思い出す。

でも「あ、今日の自分はご機嫌ななめなのね。衝動的に決断はしないでおこう。SNSに八つ当たりするのはやめておこう」とか考えられるようになったという意味では、まあ成長かもしれない。

18~25歳、たしかにしんどかったな。なにがしたいかを考えられない、そんな状況じゃなかった。
自分が未来を描いていい存在だと思えなかった。
考えると落ちこむから、目の前のことを誠心誠意120%丁寧につぶしていくしかない。
自分を助けられるのは自分だけだから、泣きわめいても無駄、と思ってロボットみたいにやっていたな。
うんうん。その気持ちすごくよくわかる。
未来がみえないどころか、ネガティブな想像ばかりしてしまったり、なにかに挑戦しようとおもっても、余裕も帰る場所もないから、リスキーだし。
もうどうでもいいやとかえって投げやりになることもあった。
そうだよね。
だけど、私は25歳くらいになると、稼げるようになって安心したのか、ふと、やりたいことを考える余裕ができて、全然ちがう業界に転職したんだ。
私の場合は、その経験を評価され、結果的にやりたい仕事をゲットすることにつながった。
いつか、やってきたことと未来とつながる瞬間がくる。あの頃は信じられなかったことが、未来には起きるんだなと思ったよ。
あと、私が心がけているのは、「あ、これまずいことになるかも」と思ったら、問題が大きくなる前に、対処の仕方がわかっている人にさくっと持っていくこと。
早めにいうことで、対処にも軽い力で対応できるし、大きな問題になる前に持ってきてくれたねって逆に信頼されるよ。
私は、施設にいた頃の記憶が薄れゆくのを感じるな~。こういう人生の話も20歳のときに話してたら泣いていたと思うよ。
だから今は、若い子や昔の自分と同じ気持ちにはなれないかな。 
でもそれって、あったこと(過去)を受け止められているのかもなとか、今が楽しいって思えているからかもしれないな~。
〇編集後記〇
退所して10年、それぞれいろいろありますね。
編集担当Aがふむふむと思ったのは、「問題が大きくなる前に対処の仕方がわかっている人に持っていくこと。」です。
退所すると頼りづらいけれど、いまは退所後支援を専門とする施設職員さんや、相談所もあるので、前より気楽かもしれません。問題がおおきくなる前に相談したいなと思いました。(相談先をさがすもぜひごらんください。)

まだまだたくさんお聞きしています。お話を聞かせてくれた先輩たち、ありがとうございます!

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